20年間ともに歩んだ診療チェアとの別れ、そして新しいスタート
2026年8月29日
先月、医院のお休みを利用して、長年使用してきた歯科診療用チェア(ユニット)の入れ替えを行いました。
今回入れ替えたチェアは、私にとって単なる診療設備の一つではなく、歯科医師としてこれまで歩んできた時間を一緒に過ごしてきた、とても思い入れのあるチェアでした。
約20年前、以前の法人に勤務させていただいていた頃、当時の院長先生が使用されていたチェアです。
そして17年前、私が分院長として赴任することになった際、このチェアも一緒に移設していただきました。
それから長い年月、毎日の診療を支えてくれました。

17年前、分院長として赴任したときから一緒に
17年前、分院長として新しい場所で診療を始めた頃。
現在とは医院の環境も違いますし、私自身もまだまだ経験の浅い歯科医師でした。
その時から、このチェアで本当に多くの患者さんを診療させていただきました。
むし歯治療や歯周病治療、被せ物、入れ歯、インプラント治療など、毎日の診療の中心にはいつもこのチェアがありました。
その後、独立し、医院の規模やスタッフの人数も変わり、診療機器も少しずつ新しくなっていきました。
それでも、このチェアは大切にメインテナンスをしながら使い続けてきました。
気がつけば、私自身がこのチェアと一緒に過ごした時間は約20年間になります。
「設備」と言ってしまえばそれまでなのですが、これだけ長く毎日の診療をともにしていると、やはり特別な思いがあります。
その当時医院を一緒に支えてくれたスタッフの顔も思い出します。
医院の成長は設備そして人の支えがあってこそとこの文章を書きながらも感じる次第です。
大切に使い続けてきましたが、ついに交換へ
歯科医院の診療チェアは、患者さんが座る椅子だけではありません。
歯科医師が治療に使用する器具、水やエアー、吸引装置など、さまざまな機能が組み込まれています。
そのため、長期間使用していると、どうしても部品の劣化や故障が起こります。
これまでも必要に応じて修理やメインテナンスを行いながら、大切に使わせていただいてきました。
できることなら、もう少し一緒に診療を続けたかったという気持ちもありました。
しかし今回、長年使用してきたこともあり、修理に必要な部品の供給などの問題から、今後の修理対応が難しい状態となりました。
安全に診療を続けていくためにも、残念ではありましたが、ついに新しいチェアへ入れ替えることを決めました。
20年間一緒に過ごしてきただけに、撤去されていく姿を見ると、少し寂しい気持ちになりました。
歯科医院の診療を支えてくれる「当たり前の設備」
患者さんが歯科医院に来院された際、診療チェアについて意識されることはそれほど多くないと思います。
診療室に入り、チェアに座って治療を受ける。
患者さんにとっては当たり前の光景かもしれません。
しかし、私たち歯科医療従事者にとって診療チェアは、毎日の診療を支えてくれる大切な設備です。
患者さんができるだけ楽な姿勢で治療を受けられること。
歯科医師や歯科衛生士が安全かつ適切な姿勢で処置を行えること。
治療に必要な器具が安定して使用できること。
こうした一つひとつが、日々の診療の質や安全性につながっています。

普段は「動いて当たり前」と思ってしまう設備ですが、今回の入れ替えを通して、改めて長年診療を支えてくれたことへのありがたさを感じました。
真夏の暑い一日、たくさんの方に支えていただきました
チェアの交換は、古いチェアを外して新しいものを置けば終わり、という単純な作業ではありません。
床下には水やエアー、排水などさまざまな配管があります。
今回も、既存チェアの撤去から配管の確認、搬出・廃棄、新しいチェアの搬入・設置、各種接続、動作確認まで、多くの工程がありました。
しかも作業をしていただいたのは、暑さの厳しい真夏の一日でした。
汗だくになりながら作業してくださる皆さんの姿を見て、本当にありがたい気持ちになりました。
普段、私たちが当たり前のように患者さんを診療できている背景には、歯科材料や機器を届けてくださる方、設備を整備してくださる方、故障した際に対応してくださる方など、たくさんの方々の支えがあります。
今回も多くの業者さんのお力添えのおかげで、無事に一日の作業を終え、次の診療から新しいチェアを使用できる状態にしていただきました。
改めて、本当にありがとうございました。
新しい設備を入れることが目的ではなく
歯科医療の世界でも、さまざまな設備やデジタル機器が進歩しています。
新しい機器を導入することによって、より快適に、より効率的に診療できることも増えてきました。
しかし私自身は、「新しい設備を入れること」そのものが目的ではないと思っています。
どれだけ良い設備があっても、それを使う歯科医師や歯科衛生士が学び続けなければ、患者さんにとってより良い医療にはつながりません。
一方で、長年使ってきたものを大切にしながらも、安全性や診療環境を考え、必要なタイミングでは新しいものへ更新していくことも医院として大切な役割です。
「大切に使うこと」と「必要なときには変えていくこと」。
その両方をこれからも大切にしていきたいと思っています。
20年間、本当にありがとうございました

新しくなった診療室を見ると、やはり嬉しい気持ちがあります。
一方で、長年そこにあったチェアがなくなっているのを見ると、少し不思議な感じもします。
20年前の自分、分院長として赴任した17年前の自分、独立した頃の自分。
振り返れば、その時々でたくさんの出来事がありました。
そして、その間ずっと同じ場所で、患者さんの診療を支えてくれたチェアでした。
そう考えると、単なる機械ではなく、自分自身の歯科医師人生や医院の歴史の一部だったのだと思います。
20年間、本当にお疲れさまでした。
そして、ありがとうございました。
新しいチェアと、これからの新しい時間を
今回、新しく導入したチェアとも、これから長い付き合いが始まります。
このチェアに、これから何人の患者さんに座っていただくのか。
ここでどれだけの治療を行い、どれだけの患者さんのお口の健康に関わらせていただくのか。
そう考えると、新しい設備を導入したというよりも、医院の新しい時間が始まったような気持ちになります。
長年大切にしてきたものへの感謝を忘れず、新しいものも同じように大切に使っていきたいと思います。
そして、設備だけでなく私たち自身も少しずつアップデートしながら、患者さんにより良い歯科医療を提供できる医院であり続けたいと思います。
20年間ともに歩んでくれたチェアに感謝しながら。
新しいチェアとともに、これからの新しい時間を一日一日大切につくってまいります。








