歯科衛生士を目指す学生さんの臨床実習が修了しました|次の世代へ伝えたいこと
2026年8月21日
目次
先月から約1か月半にわたり、新大阪歯科衛生士専門学校の学生さん2名が、当院で臨床実習に取り組んでくれました。
そして先日、無事にすべての実習を修了しました。
毎日の実習に加えて、レポートや課題にも取り組みながらの1か月半。本当にお疲れさまでした。
最終日には、私からお二人に向けて30分ほど、
「これから歯科衛生士になる皆さんに伝えたいこと」
というテーマでお話をさせていただきました。
技術や知識についての講義ではなく、これから歯科衛生士として働いていくうえで、どのように仕事と向き合ってほしいか、そして歯科の仕事にはどんな面白さがあるのか。
私自身の経験も交えながらお伝えしました。
臨床実習で初めて知る「歯科医院のリアル」
歯科衛生士になるためには、専門学校や大学で多くの知識と技術を学びます。
しかし、教科書で学ぶことと、実際の歯科医院で患者さんを目の前にして学ぶことには大きな違いがあります。
臨床実習では、歯科医師や歯科衛生士がどのように患者さんと接しているのか、治療がどのような流れで進んでいくのか、スタッフ同士がどのように連携しているのかなど、学校の授業だけでは分からない多くのことを経験します。
当然、最初からすべてが分かるはずはありません。
聞いたことのない言葉が出てきたり、治療の流れについていくことで精いっぱいになったりすることもあると思います。
さらに実習が終わってからも、毎日のレポートや課題があります。
今回、学生さんたちの話を聞きながら、
「学生さんは学生さんで、本当に忙しい毎日を過ごしているんだな」
と改めて感じました。
「実習をこなす」だけになってほしくない
毎日の実習、レポート、課題。
これらを一生懸命こなしていると、どうしても、
「今日も一日終わった」
「レポートを書かなければ」
「明日の課題をしなければ」
という気持ちになってしまうこともあると思います。
もちろん、目の前の課題をきちんとやり切ることは大切です。
しかし、せっかく臨床の現場に来ているからこそ、少しだけ余裕ができたときには、
「なぜ、この治療をしているんだろう?」
「なぜ、この患者さんにはこの説明をしているんだろう?」
「自分が歯科衛生士になったら、どのように伝えるだろう?」
そんな疑問を持ってほしいとお話ししました。
「分からない」ということは、決して悪いことではありません。
むしろ、分からないことに気付くことが学びのスタートです。
その疑問を一つずつ調べたり、先輩の歯科衛生士に質問したりすることで、教科書で学んだ知識が少しずつ実際の臨床につながっていきます。
歯科衛生士という仕事の面白さを知ってほしい
今回、最後の講義で一番伝えたかったことがあります。
それは、
「歯科衛生士という仕事を楽しんでほしい」
ということです。
歯科衛生士の仕事は、歯石を取ったり、歯磨きの方法を説明したりするだけではありません。
むし歯や歯周病を予防し、患者さんができるだけ長く自分の歯で食事を楽しめるようにサポートする。
さらに現在の歯科医療では、お口の健康を守ることが全身の健康や生活の質にもつながるという考え方が、ますます重要になっています。
患者さんと長く関わりながら、
「歯ぐきが良くなりましたね」
「以前より磨けるようになりましたね」
「これからもこの状態を維持していきましょう」
と一緒に変化を喜ぶことができる。
これは歯科衛生士という仕事ならではの大きな魅力だと思います。
技術や知識は、これからいくらでも身につけられる
学生のうちは、
「自分はまだ何もできない」
「先輩の歯科衛生士さんのようにできるようになるのだろうか」
と不安になることもあると思います。
しかし、最初から何でもできる人はいません。
私自身も歯科医師になったばかりの頃は、分からないこと、できないことばかりでした。
大切なのは、今できるかどうかだけではなく、
「もっと知りたい」
「できるようになりたい」
という気持ちを持ち続けることだと思います。
臨床に出れば、学校を卒業してからの方が学ぶことはたくさんあります。
患者さん一人ひとりのお口の状態も違えば、生活環境や価値観も違います。
だからこそ、歯科医療の仕事には「これで勉強は終わり」という日はありません。
学び続けることは大変でもありますが、それこそが臨床の面白さでもあると思っています。
少子化の時代に歯科界を選んでくれたこと
現在、日本では少子化が進み、さまざまな業界で人材不足が課題になっています。
歯科界も例外ではありません。
そんな中、数ある職業の中から「歯科衛生士になりたい」と考え、歯科の世界を選んでくれた若い世代がいることを、とても嬉しく思います。
私たちの世代には、これまで先輩方から教えていただいたことを、次の世代へ伝えていく役割があります。
そして、これから歯科衛生士になる皆さんには、私たちの世代から受け取ったものに、さらに新しい考え方や技術を加えながら、その次の世代へとつないでいってほしいと思っています。
歯科医療の未来は、これから歯科界に入ってくる若い人たちによってつくられていきます。
今回実習に来てくれたお二人にも、これからたくさんの経験を重ね、それぞれが思い描く素敵な歯科衛生士になってほしいと心から願っています。
教える側も、学ばせてもらっています
そして臨床実習は、決して学生さんだけが学ぶ時間ではありません。
学生さんから、
「これはどうしてですか?」
と質問されると、私たちも改めて、
「なぜ自分たちはこの方法を選んでいるのだろう」
「もっと分かりやすく説明するにはどうしたらいいだろう」
と考えます。
普段、当たり前のように行っている診療を、もう一度見直す機会にもなります。
また、学生さんが一生懸命メモを取り、少しでも多くのことを吸収しようとしている姿を見ると、私たち自身も歯科医療に携わり始めた頃の気持ちを思い出します。
だからこそ、今回の1か月半は、
「教えさせていただいた」というよりも、「私たちも一緒に学ばせていただいた」
という感覚の方が近いかもしれません。
学生さんを迎えることで、私たち自身も背筋を正し、日々の診療に向き合うことができました。
未来の歯科衛生士さんへ
1か月半、本当にお疲れさまでした。
毎日の臨床実習に加え、レポートや課題など、大変なこともたくさんあったと思います。
今はまだ、目の前の実習や国家試験のことで精いっぱいかもしれません。
しかし数年後、患者さんから、
「あなたに診てもらえてよかった」
と言っていただける日がきっと来ると思います。
そのときに、歯科衛生士という職業を選んでよかったと思ってもらえたら、私たちにとってもこれほど嬉しいことはありません。
今回の実習が、お二人の長い歯科衛生士人生の中で、ほんの少しでもプラスになる経験になってくれていれば嬉しく思います。
これからのお二人の成長と、歯科衛生士としての素晴らしい活躍を心から応援しています。
そして私たちも、次の世代に少しでも良い歯科医療をつないでいけるよう、これからも日々の診療と教育に向き合っていきたいと思います。
1か月半、本当にお疲れさまでした。
そして、しぎの歯科に実習に来ていただき、ありがとうございました。








