親知らずは抜かないといけないの?

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親知らずは抜かないといけないの?

2024年3月19日

 

歯科医院を受診した時に「親知らずを抜いたほうがいい」と言われた事はありませんか?「今は痛みもないし困っている事はないけど本当に抜かないといけないの?」と疑問に思われる方も多いと思います。
今回は、親知らずについてお話させていただきますね。

そもそも親知らずとはどんなものでしょうか?

親知らずの正式名称は「第三大臼歯」と言います。
何故、俗に親知らずと呼ばれるようになったかというと「親が知らないうちに生えてくるから」と言われています。
親知らずが生えてくるのは上下共に20歳頃です。
子供が小さい内は、親がお口の中をみて仕上げ磨きや永久歯が生えてきているかなどチェックしますが、大人になるにつれてそうしなくなってきます。
だから親の知らない間に生えてくる「親知らず」なのです。(所説あり)
また、「智歯」とも呼ばれますがこちらは英語のwisdom teeth〔知恵がついた大人の頃に生える歯〕の和訳です。

何故、親知らずの抜歯をすすめるのでしょうか?

全ての親知らずに必ずしも抜歯が必要な訳ではありません。
まっすぐ生えているなら問題はありません。
ですが、現代は顎が狭く小さくなって、親知らずが半ば埋もれて生えている(半埋伏)人や、傾いて生えている人が圧倒的に多くなっています。
そうした咀嚼の機能を果たさない親知らずは、虫歯の原因になったり歯茎に炎症を起こしたり、歯並びに影響するだけではなく、全身の健康にかかわってきます。
現在は痛みや異常がなくても、将来的に親知らずが悪さをする可能性を見越して、患者様の将来的な健康を考えて抜歯のご提案をさせていただいております。
では、抜いたほうがいい親知らずについて詳しくご紹介していきますね。

親知らずの生え方ラインナップ

下記は一部ではありますがよくある親知らずの生え方や埋伏の仕方です。

 

抜いたほうがいい親知らずについて

① 親知らずが隣の歯に悪さをしている
② 親知らずが病気の原因になっている
上記の2パターンが多いです。
では、更に詳しくご紹介していきます。

隣の歯を虫歯にしている

親知らずが傾いて生えていて、手前の歯とぶつかったところが虫歯になってしまうケースがあります。
親知らずがぶつかっている所は食べカスが挟まりやすく歯ブラシも届かない為、虫歯になるリスクが非常に高いです。
もちもん、ぶつかっている親知らず自体も虫歯になりやすいです。

歯並びに影響している

横に倒れて生えた親知らずが手前の歯の側面にぶつかり、押されてしまいます。押された歯が更に隣の歯を押して・・・・と、将来的に歯並びを悪くする可能性があります。

隣の歯の根を失わせている

横に倒れて生えた親知らずが手前の歯の根にぶつかり根の部分的な喪失(吸収)を起こします。根がなくなってしまうと歯の保存が難しくなってしまいます。
根の吸収が少ないうちなら親知らずを抜けば保存できる場合もあります。

歯茎に炎症を起こしている

中途半端に顔を出した歯と歯茎の隙間は深い歯周ポケットが出来ているのと同じ状態です。
その為、内部にプラークが溜まり、炎症が起きたり腫れたり出血しやすくなります。
こちらは、抗菌薬などで炎症を一時的に抑える事ができますが親知らずを抜かない限り、炎症が再発します。

そして注意が必要になるのが「智歯周囲炎」です。
「智歯周囲炎」とは親知らずが関連して起こる歯周病の事を言います。
親知らずは顎の最奥に生えている歯の為、位置的に咀嚼筋や咽頭、頸部へと近いので細菌感染が顎の骨や顔面、首に広がりやすいです。
炎症を繰り返していくと顎の骨が部分的に壊死してしまう「骨髄炎」になったり、皮膚とその下の組織に炎症が起き、顔が蜂に刺されたように腫れてしまう「蜂窩織炎」になってしまう危険があります。

親知らずが病変を作っている

顎の骨の中に埋もれた親知らずが、周りに嚢胞(液体が入った袋状の病変)を作ってしまうことがあります。
嚢胞ができてしまい、骨が著しく吸収されてしまうと骨が脆くなってしまうので例えば転倒してしまい顎をぶつけた衝撃で骨が折れてしまう事もあります。
上記が抜いたほうがいい親知らずです。

いかがでしたか?該当している親知らずはありませんでしたか?
親知らずが原因で歯茎が腫れたりすると自覚症状がありわかりやすいですが埋伏している親知らずなどは普段ご自身では把握するのが難しいです。

歯科医院でも、顎の骨の中に埋まっている親知らずは、外からお口の中を診ただけではどのような状態なのか確認ができません。お口全体のレントゲン写真を撮る事により親知らずの詳しい状態を把握する事ができるので、今は問題がなくても将来的に問題が起こりそうな親知らずがあれば抜歯のご提案をさせていただく事があります。

それでは抜かなくてもいい親知らずはどんなものがあるのでしょうか?

まっすぐに生えていて隣の歯にぶつかっていない虫歯や歯周病のリスクが少ない親知らずや周りの歯茎に炎症を起こしていない親知らずなら抜く必要はありません。
顎の骨に完全に埋もれていて、手前の歯とも離れて周囲に病変を作っていない場合も抜く必要はありません。

しかし、まっすぐ生えていても対合歯が無く、噛み合う歯がない場合は歯が伸びてしまい嚙み合わせに問題が生じる場合はまっすぐ生えていても抜くほうがいい場合もあります。
そして、逆に抜かないほうがいい親知らずもあります。
解剖学的に抜くに抜けない親知らずも存在します。

極まれに親知らずの根が下顎管(下顎の神経)を巻き込むようになっていたり、親知らずが下顎管とくっついているようなケースは、親知らずを抜くときに神経を傷つけ、麻痺が起こるリスクが高い場合です。
または、患者様自身が全身疾患などあり身体の状態が悪い時は無理してすぐに抜く必要はありません。

ここまでで「抜いたほうがいい親知らず」と「抜かなくていい親知らず」についてご紹介させて頂きました。
抜いたほうがいい親知らずが自分にはあるけど・・・「抜くのはやっぱり怖いしどうしよう」「親知らずを抜いたら顔が腫れたって聞いた事がある」「抜くのは入院するの?」など不安な事や気になる事が出てきたかと思います。

では次は、患者様からよく聞かれる質問にお答えしていきますね。

親知らずの抜歯のQ&A

Q:親知らずの抜歯は歯科医院で抜く時と大学病院に紹介されるのは何故ですか?

A:親知らずの生え方や位置などレントゲンにて検査を行います。
特に下顎の親知らずは神経や主要な血管がその近くを通っています。
該当する一般歯科では難しい症例の親知らずに関しては安全性を重視して設備の整った大学病院や専門医にご紹介させていただきます。

上記以外にて、一般歯科でも安全に抜ける場合は紹介せずに抜く症例もある為です。
当院でもレントゲンの検査とお身体の状態などカウンセリングさせていただき、ご紹介か当院にて抜歯かをご相談させていただいております。

Q:親知らずの抜歯後の痛みや腫れは実際どのくらいですか?

A:基本的に、親知らずを抜く時にまっすぐ生えている場合は周りの骨を削ったり歯茎を切開する事はすくないので比較的痛みや腫れはできくいです。

しかし、歯茎の中に埋まっていたりする場合は歯茎を切開して、周りの骨を削り歯を抜いていきます。
そうなると骨を削る量が多いほど腫れが生じます。
抜歯後は鎮痛剤をしっかり服用していただき、術後の感染も起こらないなら、痛みのピークは1日後、腫れのピークは2日後です。そこから徐々に引いていきますのでご安心ください。

しかし、4~5日、あるいは1週間してから腫れや痛みが増してきたなら、術後感染が起きている可能性があります。
「親知らずを抜いて腫れてしんどかった」という方はこのようなケースと思われます。

Q:親知らずの抜歯後に唇がしびれたなど後遺症はありますか?

A:神経のしびれは、親知らずの生えている位置関係上、どうしてもリスクはゼロではありませんが、可能な限り予防策を取っています。
下顎の親知らずのそばには、神経や血管の集まりである下顎管や舌神経が通っています。
抜歯の際にこれらの神経に刺激が加わると、下唇や顎の皮膚にしびれが出る事があります。
通常数週間~数か月で治りますが稀に更に続くこともあります。

しびれのリスクを減らすには親知らずと神経の位置関係を正確に把握する必要があります。
その為、3次元のCTにて位置関係を把握しています。
その際に、リスクが高いケースは抜歯をしないほうがいい事もあるので無理に抜歯は行いません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は【親知らず】についてご紹介させていただきました。
親知らずが悪さをする前に抜歯を検討してみてください。
自分の親知らずは今どんな状態なのか、抜いたほうがいいのかなど知りたい方は是非、歯科医院にてご相談下さいね。

口臭が気になる方集合!におわないお口の作り方

2024年3月12日

マスクをしている時に「あれ?私の口、臭くないかな・・・」やご家族とお話している時に「ん?なんか臭うぞ・・・」など口臭が気になる方、多いですよね。
ご自身も大切なご家族も、におわないお口を目指したいのではないでしょうか。

口臭対策は、1人で悩むより、歯科医院でお口を診てもらうのが解決の一番の近道なのはご存じでしょうか?
口臭の原因は歯科に関するものが多々あります。
口臭物質の温床になりがちなのは、歯周病や舌苔、溜まったプラーク、大きな虫歯、汚れた入れ歯など様々あります。
それらを歯科医院で治療や清掃する事で改善されるケースもあります。

今回は、におわないお口の作り方をお話させて頂きますね。

まずは、口臭の事を知りましょう!

口臭には、「生理的な口臭」と「病的な口臭」があります。
生理的口臭は、朝起きた時に口がにおうなど、誰にでもある一時的な口臭で、1日のうちに自然と増減します。
また、食べ物や飲み物、タバコをはじめとした嗜好品など成分が一時的に口から、あるいは肺からにおうのも生理的な口臭に含まれます。

一方、病的口臭は、持続的に発せられるにおいの事です。
いわゆる「不快なにおい」と客観的に認識されやすいもので、においの原因がなくならないかぎり存在し続けます。
歯周病などのお口の病気や、鼻炎などの耳鼻咽頭の病気、糖尿病や肝疾患など全身の病気により起こります。
(*におい物質が血液をめぐって肺から呼気へ移る為です。)

生理的口臭と病的口臭は明確に2つに分けられるものではないですが、強い口臭が続くというのは、お口か全身に不調が起きているシグナルと言えます。
そして、原因の8割はお口の中にあります!
お口の中の気体に由来します。

その主な原因物質

①硫化水素

硫黄と水素があわさった揮発性硫黄化合物で腐った卵のようなにおいがします。
主に歯磨きによる磨き残したプラーク(細菌の塊)に由来します。
火山ガスや温泉に含まれる、いわゆる「硫黄のにおい」はこの硫化水素のにおいですね。

②メチルメルカプタン

メタンチオールとも呼ばれる揮発性硫黄化合物で腐った玉ねぎのようなにおいがします。
主に歯周病に由来し、歯周病菌の代表であるPg菌により生み出されます

③ジメチルサルファイド

硫化ジメチルとも呼ばれる揮発性硫黄化合物で生ごみや腐ったキャベツのようなにおいがします。
身体の病気や持病のお薬の影響で発生しやすい傾向があります。

特に①と②がお口の原因のうち約90%を占めると言われています。
その中でも歯周病は強烈な口臭のもとになっているのですが、やっかいなのは自分ではなかなか気づけないことです。

しかし、原因が①と②であれば歯科医院にて治療や清掃を行う事で改善できるという事ですね。
では、次はよくある歯科的な要因を中心にご紹介していきますね。

口臭の歯科的な要因

口臭の歯科的な要因

溜まったプラーク(歯垢)・・・・・硫化水素の原因

歯に付着したプラークは細菌のかたまりです。
たった数グラムのプラークの中にはなんと何億もの細菌がいます。
プラークがお口に長くあるほど硬くなっていき、歯ブラシでは落ちにくくなっていきます。
硬くなったプラークは歯石になり、歯ブラシでは落とせなくなってしまいます。
長く残って熟成したプラークはにおいの元になってしまいます。

特に注意したいのは、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目にもプラークは溜まります。
ここに溜まったプラークは口臭だけではなく、隣接面の虫歯や歯周病の原因になります。
また、人工物の被せ物の周りにもプラークは付着しやすい為、プラークがついたまま放置していると口臭の原因になります。

上記を改善するためには、毎日にセルフケアをしっかり行う事がとても重要です。
歯ブラシをしっかり当てる・歯と歯の間は歯ブラシ以外の清掃用品フロスや歯間ブラシを使用する事でプラークを溜めないようにする事が大切です。
また、定期的なプロのケアも受ける事で歯石の除去や適切なブラッシング指導を受ける事も大切です。
また、人工物の被せ物もプラークがつきにくい材料などもあります。

穴のあいた虫歯・・・・・硫化水素の原因

虫歯になって穴が開いたところは、食べカスやプラークが溜まりやすい場所です。
そのままにしていると虫歯が進行しやすいだけではなく、においのもとにもなってしまします。

痛みがないからと虫歯を放置せずに虫歯治療を行いましょう。
重度な虫歯も口臭や出やすいので注意は必要です。

定期的に歯科医院にて検診を受けて頂き、虫歯がないかを診てもらいましょう。

歯周病 ・・・・・・メチルメルカプタン

歯周病は傷みや違和感がなく進行していくので、気づかぬうちに重症化しやすいです。
何もしていないのに歯茎から出血するというのは非常に危険なサインです。

歯周病菌の中でも病原性の強いPg菌が出す口臭物質がメチルメルカプタンです。
歯周病になっている認識がない為に、気づかぬうちに不快な口臭が発生していることも多いです。
いわば歯周ポケットの中に口臭のガス工場があるようなものです。

歯周病になってしまっている場合は、歯科医院にて歯周治療を受けていただく事が必要になります。
プラークが溜まり、歯石になり、歯を支えている歯槽骨が溶かされて歯周ポケットがどんどん深くなっていきます。
そうなると歯ブラシでは汚れは取れずに改善がされませんので、歯茎の中に隠れている歯石やプラークを歯科医院にて除去させていただき、歯周ポケットを引き締めて、汚れが入り込まないようにします。
虫歯と同じく、定期的に歯科医院にて検診を受けて頂き、歯周病になっていないかを診てもらいましょう。

舌苔・・・・・・硫化水素の原因

舌苔とは、歯の表面に堆積した汚れの事です。
舌には細かな突起(舌乳頭)が無数あり、その隙間にはがれ落ちたお口の粘膜や唾液の成分、食べカスなどが堆積したもので、白色や薄黄色をしています。
誰しも薄っすらと舌苔はあるものですが、厚く堆積すると細菌の温床となり、不快なにおいのもととなってしまいます。

歯の清掃も大切で忘れがちですが、舌の清掃も忘れずに行いましょう!
専用の舌ブラシを使用します。
水で湿らせた舌ブラシを舌の奥に軽くあてて、奥から手前に、表面を優しくなでるように数回動かしましょう。
※力の入れすぎや磨きすぎは舌が傷ついてしまいますので注意してください。

汚れた入れ歯・・・・・・硫化水素の原因

入れ歯にもプラークや歯石はつきます。ですから、しっかり磨けていない入れ歯も不快な口臭のもとになります。
入れ歯洗浄をする際は、人工歯の部分以外にも入れ歯の歯茎の部分も汚れが残りやすいです。

毎日の洗浄をしっかり行い、プラークや歯石が付着しないようにしましょう。
入れ歯の洗浄は専用の入れ歯用ブラシと入れ歯洗浄の使用をおすすめ致します。

つけっぱなしの仮歯・・・・・硫化水素の原因

本来仮歯は本番の被せ物出来上がるまでの間、仮の歯として使っていただく為の物です。
仮歯は長期間の使用を想定していない為、長期間お口の中にあるうちに、表面のプラスチックが傷ついたり、被せ物と歯との間に隙間が空いたりしてきます。
すると傷ついた表面にプラークが付着したり、隙間にプラークが入り込みやすくなり口臭のもとになってしまします。

仮歯で痛み無く噛めるので治療を中断している方も少なくありません。
しっかりと最後まで治療を行う事が大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。口臭は、歯科治療で良くなる可能性があることがおわかりいただけたでしょうか。
1人で悩むよりも、専門家の手を借りる事が「におわないお口」への近道です。
しばらく歯科医院を受診していない・口臭が気になるなどあれば是非、歯科医院を受診をしてみてくださいね。

インプラント治療について知りましょう!パート③

2024年3月5日

Learn about implants 大阪市城東区 しぎの歯科

前回はインプラント治療の流れについてお話させて頂きました。
まだ、読まれてない方は是非、そちらも参考に読んでみてくださいね。

長期間のインプラント治療がやっと終わり、日常生活も問題なく噛めるようになり美味しく食事も出来て快適に過ごされているかと思います。
しかし、ここで油断をしてはいけません。
気をつけなければ思わぬトラブルが起こってしまうかもしれません・・・
インプラント治療終了後に起こり得るトラブルについて、トラブルの原因や対応方法とこから先、長くインプラントをいい状態で使用する為にできる予防方法等をご紹介させて頂きますね。

インプラント治療終了後に起こるトラブルは主に『細菌』と『噛む力』が原因です。
それぞれについて、詳しくご紹介させて頂きますね。

インプラント周囲炎 大阪市城東区 しぎの歯科

インプラントも歯周病になる?

長持ちの大敵の一つ目は、『細菌』です。
インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病にはなってしまいます。
では、インプラントの歯周病はどのようなものでしょうか?

天然歯の歯周病と比較しながら説明させて頂きますね。
天然歯に起こる歯周病とインプラントに起こる歯周病の原因は、どちらもプラーク(細菌のかたまり)です。
歯周病は、歯の根元まわりに付着したプラークが、まず歯茎を炎症させて腫れや出血を引き起こし、いわゆる「歯肉炎」になります。
歯肉炎が悪化すると、顎の骨が溶けてなくなる(実際は身体の防御反応で骨が吸収されている)「歯周炎」=歯周病となります。

インプラントの歯周病も、進行の仕方は似ています。
インプラントに付着したプラークが、その周りの歯茎を炎症させて腫れや出血を起こします。専門的にはこの様態を「インプラント周囲粘膜炎」といいます。
インプラント周囲粘膜炎が悪化すると、顎の骨にも炎症が及ぶインプラントの歯周病=「インプラント周囲炎」となります。

周囲炎が進むと、骨が失われてインプラントはグラグラしていき最後には抜けてしまいます。
顎の骨が失われる点は共通していますが、天然歯に起こる歯周病では、実は炎症は骨に及んでいません。
炎症と骨の間には常に歯茎があり、細菌が骨の内部に入り込まないように防波堤となっているからです。
しかし、インプラント周囲炎では骨の内部に細菌が入り込み炎症が起きています。
いわば骨炎や骨髄炎と同じです。

ここまで読んでいただくと怖く感じられかと思いますが、インプラント周囲炎にならない為にできる予防法があります。
それは『セルフケア』と『メンテンナンス(定期健診+クリーニング)』です。
そうです、天然歯と同じく毎日のセルフケアと歯科医院でのプロのメンテナンスを受けて頂き、歯周病の最大の敵『プラーク』を取り除く事がインプラント周囲炎の予防策となります。

メンテナンスでは、インプラントとその周りの歯茎や顎の骨の状態を複数の検査で調べます。
なかでも重要視されるのが、インプラントと歯茎の間に器具を差し込んだ時に出血するかどうかの検査です。
出血したら、インプラントの根元に付着した細菌が、歯茎で炎症を起こしています。
炎症は歯茎だけなのか、顎の骨にまで及んでいるのかをレントゲンで更に精査します。
周囲炎やその前の段階のインプラント周囲粘膜炎になっていることがわかれば、日々のセルフケアを見直していただく必要があります。
セルフケアを怠っている状態で治療をしても、細菌は減らず炎症も引きません。
改善されたら、セルフケアの歯ブラシでは届かない、歯茎の中のプラークや歯石を専用の器具で除去します。

周囲炎の場合は、これにくわえて、細菌に汚染された歯茎の組織や顎の骨も除去が必要になります。
細菌の温床がなくなれば、顎の骨がインプラントに結合する見込みが高まります。
周囲粘膜炎の段階で発見できれば元に戻せますし、顎の骨のダメージが少ない状態ほどインプラントを失わずにすむ可能性が高まります。
歯周病と同じく、痛みや違和感を感じてからでは進行している事が多いです。
ですので、日々のセルフケアと定期メンテナンスの受診を欠かさないようお願いしています。

インプラントのセルフケアをレベルアップしましょう!

*歯ブラシをしっかり当てましょう

インプラントと歯茎の間に45度に歯ブラシを当てて、優しく小刻みに1本1本丁寧に磨いてください。

*歯間ブラシを使用しましょう

鏡を見ながら、歯と歯の間に歯間ブラシを下から上に傾けて差し込んで下さい。
(※上顎の場合は上から下に傾けて差し込んでください。)
歯間ブラシを完全に貫通させていただき、毛先が手前のインプラントの歯茎周りに触れた状態で、優しく小刻みに(3~4mm幅)に10回動かします。
次に、同じように毛先が奥のインプラントの歯茎に触れる状態で優しく小刻みに(3~4mm幅)に10回動かします。
この時にワイヤーを直接、歯や歯茎に当てないように注意してください。

*歯間ブラシが入らない時はデンタルフロスを使用しましょう

上部構造に沿わせて、そっと動かして汚れをとっていきます。

詳しくは、当院の歯科衛生士からお手入れ方法はご説明させて頂きますね。

噛む力がインプラントの持ちに影響がある?

長持ちの大敵の二つ目は、『過剰な噛む力』です。
インプラントを長持ちさせるには、過剰な噛む力への配慮が必要になります。
「噛む力」と言っても、一時的にガリッと強く噛んでしまう力よりも、歯ぎしりやくいしばりといった無意識に生じる継続的な強い力が問題となります。

天然歯とインプラントの違いでご紹介した、インプラントと顎の骨の間には噛む力を吸収・分散させる歯根膜がありません。
その為、過剰な力が生じた場合、インプラントや骨にダイレクトに負担がかかります。

その結果

  • ・人工歯部分(上部構造)が欠ける、割れてしまう
  • ・連結パーツ(アバットメントやネジ)がゆるむ、ゆがんでしまう
  • ・人工歯根(インプラント体)に亀裂や破折、インプラント体と骨が剥離して、抜けてしまう事が稀にあります。

くわえてインプラント周囲炎も、歯ぎしりなどにより悪化する恐れがあります。
これは、ご自身の天然歯の歯周病にも起こり得る事です。

歯ぎしりやくいしばりは無意識の癖ですので、自覚していない事がほとんどです。
「歯ぎしりや食いしばり」についてもご紹介しているコラムもありますので、そちらも是非、参考にしてみてくださいね。
歯科医院では、かみ合わせやインプラントの状態を調べる事で、絶えずそうした兆候がないかを定期健診で診ています。
兆候が見つかった場合は、かみ合わせの調整やナイトガード(就寝時につけるマウスピース)などで力の緩和を図ります。(下記画像がナイトガードです)

ナイトガード 大阪市城東区 しぎの歯科

では、上部構造の欠けや連結パーツのゆるみなど、トラブルが起こったらどうなるのでしょうか?

・人工歯部分(上部構造)が欠ける、割れてしまう
→上部構造を外して、修理もしくは作り変えを行います。

・連結パーツ(アバットメントやネジ)がゆるむ、ゆがんでしまう
→上部構造と連結パーツを外して、修理もしくはネジ交換など行います。

・人工歯根(インプラント体)に亀裂や破折、インプラント体と骨が剥離して、抜けてしまう
→インプラント体の撤去を行います。
骨の状態により、再埋入OPEを行う場合もあります。

基本的には上記のような流れで再度、インプラントで噛める状態へと治療を行いますが、者
様の口腔内の状況により異なる場合もあります。

大阪市城東区 しぎの歯科

まとめ

いかがでしたでしょうか?
インプラントをトラブルなく、長持ちさせる為に大切な事をお話させていただきました。

インプラントが完成し、「噛めるようになったから、インプラント治療は終わり!」ではあ
りません。
長く良い状態でインプラントを使用してもらえるように患者様ご自身での日々のセルフケ
アと歯科医院で定期的なメンテナンスがとても重要です。

「痛みがないから」「違和感もないから」とだんだんと歯科医院へ足が向かなくなる方も、
残念ながら少なくないのです。

患者様が異常を感じてから歯科医院へ来ていただいても、対応が難しい事が多くなり、症状
によりインプラント体を抜かないといけなくなるケースもあります。

そして、インプラントだけではなく、日々のセルフケアとメンテナンスはご自身の天然歯に
とっても重要な事です。

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