BPSシステムの紹介① ―通常の義歯製作の流れとの違い―
2026年2月8日
総義歯の製作には、いくつかの方法がありますが、
まずは従来から広く行われている一般的な総義歯製作の流れについてご説明します。
1.概形印象 → 個人トレーの作製
2.個人トレーによる本印象 → 基礎床および蝋堤の作製
3.基礎床・蝋堤による咬合採得 → 人工歯の配列
4.試適(仮床試適) → 最終義歯の作製
5.義歯の装着(セット)
この方法では、各段階で確認と修正を重ねながら、
時間をかけて完成へと近づけていくのが特徴です。
一つ一つの工程はとても大切であり、現在でも多くの症例で用いられている基本的な手順です。
一方で、**BPS(Biofunctional Prosthetic System)**では、
次のような流れで総義歯を製作します。
1.印象採得およびセントリックトレーによる簡易的な咬合採得 → 基礎床の作製
2.精密印象およびゴシックアーチを用いた咬合採得 → 人工歯の配列
3.試適 → 最終義歯の作製
4.義歯の装着(セット)
BPSの特徴は、初期段階から機能的で精密な記録を行う点にあります。
これにより、咬合関係や顎運動の情報をより正確に反映しやすくなり、
結果として適合性・安定性・快適性の向上が期待できます。
また、工程が整理されているため、
来院回数が比較的少なくなる点も大きな特徴です。
ただし、審美性の確認や細かな調整が必要な症例では、
前歯部の試適などを追加し、回数を重ねる場合もあります。
つまりBPSは、
単に「回数を減らすシステム」ではなく、
科学的根拠に基づいた記録と再現性を重視した総義歯製作システム
であると言えます。
私がBPSシステムを導入した理由
私自身、約12年前に臨床へBPSシステムを導入しました。
それ以前、総義歯治療に対しては正直なところ
苦手意識を感じていました。
患者さんによって
「よく合う場合」と「なかなか合わない場合」の差が大きく、
さらに同じ患者さんであっても、
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同様の手順で丁寧に製作している
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技工操作にも大きな違いはない
にもかかわらず、
適合や安定感に違いが生じてしまうという経験を重ねてきました。
総義歯治療の難しさ、そして奥深さを感じる中で、
当時大阪大学補綴科教授であった前田先生より
学ぶ貴重な機会をいただきました。
BPSに関するコースを受講し、
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理論に基づいた診断と治療手順
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機能を重視した精密な記録方法
-
再現性の高い製作システム
に触れたことで、
「より安定した総義歯治療を患者さんへ提供できる可能性」を強く感じ、
臨床への導入を決意しました。
導入から現在に至るまで、
すべての症例が理想通りにいくわけではもちろんありませんが、
治療の再現性や予測性が高まったという実感があります。
そして何より、
患者さんから
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「外れにくくなった」
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「しっかり噛めるようになった」
-
「話しやすくなった」
といったお言葉をいただく機会が増えたことは、
臨床に携わる者として大きな励みとなっています。
今後のブログについて
本ブログでは今後、
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BPSシステムの具体的な特徴
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従来の義歯との違い
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適応症や注意点
-
実際の臨床で感じていること
などを、
できるだけ分かりやすい言葉で、少しずつ丁寧に
ご紹介していきたいと考えています。
総義歯でお悩みの方、
現在お使いの義歯に違和感をお持ちの方、
これから義歯治療を検討されている方にとって、
本記事の内容が
少しでも参考や安心につながれば幸いです。








