気になる!妊婦さんと歯科治療について
2024年5月4日
前回は、気になる妊婦さんの歯科治療についてお話をさせていただきました。
まだ読んでいない方は併せて読んでみてくださいね。
前回、「妊婦さんと虫歯・歯周病との関係性について」と「赤ちゃんへの影響について」ご紹介させて頂きました。
今回は、「歯科を受診する時に気をつけて頂きたい事」・「生まれてくる赤ちゃんの為に是非、していただきたい予防について」・「歯科検診について」についてご紹介させていただきます。
歯科受診する時に気をつけて頂きたい事
①妊娠中だと教えて下さい
妊婦さんの治療では、使用する薬剤を妊娠期に合わせて配慮させていただいています。
来院した際には妊娠中だと教えて下さい。
母子手帳もご持参していただくようにお願いします。
また、産科の主治医に注意を受けている事などあれば教えて下さい。
②治療の相談はお早めにお願いします
妊婦さんのお口の中は、妊娠前に比べると虫歯や歯周病が進行しやすくなっています。
治療を躊躇すると思わぬ悪化を招くこともあるので、症状が軽いうちに歯科医院で検診を受け、体調に合わせて治療が受けれるようにご相談いたします。
③産科の主治医にも相談してください
歯科治療を希望の方は、妊婦検診の際に産科の主治医にもご相談をしておきましょう。
妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにかかっていたり、外科など大きな治療が必要な場合は、必要に応じて歯科と産科が連携し全身状態を把握して、治療を進めます。
*ワンポイントアドバイス
妊娠中に多いトラブルとして、「親知らずのトラブル」が多いです。
歯茎が腫れやすく、虫歯も進行しやすい妊娠中は、急に親知らずが悪化して抜歯が必要になるケースも多くあります。
抜歯になると歯科麻酔や抗生物質など薬が必要になってきます。
可能であれば、妊娠前に親知らずの抜歯を行いトラブルを未然に防ぐ事をおすすめいたします。
赤ちゃんの為になる妊娠中にできる予防について
妊娠初期は、つわりがあり丁寧に歯磨きをするのが大変な時期になります。
つらい時期を乗り切るための予防法をご紹介させていただきます。
生まれてくる赤ちゃんに虫歯ってうつるの?
妊娠中に歯周病が進行すると、お腹の赤ちゃんの成長に影響し早産の原因になります。
では、虫歯はどうでしょうか?
生まれてきてくれた時の赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はいません。
出生後に周囲の人から虫歯菌をもらう場合があります。
赤ちゃんに虫歯菌を移さないように、お母さんをはじめとするご家族のお口が清潔に保たれている事がとても重要です。
妊婦さんのお口の健康にためのみならず、お子さんの将来のお口の健康の為にも、お母さんの虫歯菌を減らしておくことがとても大切です。
妊娠初期の歯磨きがしんどい時期は下記の方法を試してみてください
体調のよい時間帯を選んで歯磨きをする
体調が悪い時に「1日3回しっかり歯磨きしないと」と無理に頑張らなくて大丈夫です。
ゆったりできる体調の良い時間帯を選んで、1日1回の歯磨きを丁寧に行ってみてください。入浴中や寝る前のリラックスタイムがおすすめです。
それも難しい場合は、食後すぐに強めのブクブクうがいをしたり、嘔吐した直後も、胃酸で歯が溶けないようにブクブクうがいをしましょう。
また、歯磨きの際に歯磨剤をつけるのがしんどい場合は、平気になるまでは歯磨剤はつけずに歯磨きしても大丈夫です。
歯磨きの仕方について
下を向いて、唾が口の中に溜まらないようにして歯磨きすると、嘔吐感が刺激されにくく磨きやすくなります。
また、歯ブラシも先端が小型の物も販売されているので歯ブラシをお口に入れると嘔吐感を感じる方は小型ヘッドの歯ブラシを試してみてください。
フロスも柄付きのY字フロスがお口を大きく開けずに清掃ができて便利です。
歯ブラシ以外にもフッ素入りの洗口液でブクブクうがいもおすすめです。
キシリトールで虫歯菌を抑制
妊婦さんがキシリトールを100%配合したガムを噛んだら、子供への虫歯菌が減少したという研究報告があります。(Nakai Y etal,,2010)
ベタベタのプラークがサラサラになり除去しやすく、お母さんのお口の清潔を保ちやすくなります。
赤ちゃんの為にも歯科検診を受けましょう
妊娠する事でお口の環境が変化しやすくなります。
妊娠中はお口の健康を保ちづらい条件がそろうので、お口の悩みが生じやすくなります。
しかし、お腹の中の赤ちゃんを気遣うあまり必要な受診を避けてしまい、お口の悩みをそのままにしてしまう方も多くいらっしゃいます。
しかし、出産後は、子育ての忙しさで自分の事は後回しになってしまいます。
気づいた時には大掛かりな治療が必要になるほど悪化しているケースが後をたちません。
ですから是非歯科検診の受診を行いましょう。
歯科検診で自分のお口の中の状態を知り、プロのアドバイスで口腔内環境を効率よく改善したり、大事にならないように小さな処置でトラブルを止めて、お口の健康を長く保っていきましょう。
もう一つ忘れてはいけないのは「妊婦さんのお口の健康は、自分のためだけではない」ということです。
妊婦さんのお口の健康は、「お腹の赤ちゃんの育ちや将来のお口の健康に直接的・間接的に影響する」からです。
歯周病の炎症は、お腹の赤ちゃんの成長に影響し、早産にも関わります。
また、お母さんをはじめご家族(お父さん・おじいちゃん・おばあちゃんなど)のお口のケアが不十分で虫歯菌が沢山いると、生まれてきた赤ちゃんのお口に虫歯菌がうつりやすく、お子様の生涯の虫歯リスクを決定づけてしまいます。
母子健康手帳を貰ったら是非、妊婦歯科検診の受診を行いましょう!
いかがでしたでしょうか?
前編・後編とわけて妊婦さんと歯科治療についてご紹介させていただきました。
大切な新しい命がお腹に宿り、お母さんの身体は日々変化していく中ご自身と生まれてくる赤ちゃんの為にも日々の予防や歯科検診を受診して母子共に健康なお口で過ごしましょう。
もちろんお母さんだけではなく、ご家族みんなで取り組む事がとても大切です。
歯科治療で不安な事もあると思います。
そんな時は悩まずに是非、ご相談してくださいね。