大人のマウスピース型矯正について 後半
2024年9月22日
大人のマウスピース型矯正ってどんなもの? 後編
前回に引き続き、大人のマウスピース型矯正についてご紹介させていただきますね。
前回は、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の違いについて・矯正を適切に行うために必要な精密検査についてお話しています。
まだ、読んでいない方は是非、前半の読んでみてくださいね。
今回は、マウスピース型矯正がスタートしてから、最終のメンテンナンスまでの治療の流れとポイントについて、ご紹介させていただきます。
⓵マウスピースの完成・受け渡し
マウスピースの着脱方法・取り扱い方などをご説明させていただきます。
お食事と歯磨きの時間以外はマウスピースを装着した状態で日常生活を過ごしていただきます。
次回の来院日程を調整させていただき、必要な枚数のマウスピースをお渡しさせていただくので、既定の日数でマウスピースをご自身で交換していただきます。
⓶歯を計画通りに動かすために必要な処置を行います。
*症例による行う処置は異なります。
*下記でご紹介する内容はよく行う処置となります。
【アタッチメント】
歯の移動をコントロールする為に、歯にアタッチメントと呼ばれるレジンで出来た突起を矯正期間に一時的に装着します。
アタッチメントにより、歯の傾斜や高さなどをコントロールします。
【ボタンセット ゴム装着】
専用のゴムによって歯の動きをコントロールする目的で、ゴムをひっかけるボタンの装置を矯正期間に一時的に装着します。
【IPR】
歯の移動を行う際に、動かすスペースを確保する為に、歯のエナメル質を削ります。
ポイント①装置が全く目立たないわけではありません!
透明のマウスピースは確かに目立ちにくいですが、装置が全く見えないわけではありません。
レジンで目立ちにくいですが、アタッチメントが付き、歯の表面に突起がつくこと・ゴムをかけるなど行うと、矯正をしていることが、わかりやすくなる場合もあります。
⓷定期的な歯科医師のチェックを受けていただき、歯の動きを確認します。
予定通りに歯が動いているのか、歯に負担がかかっていないか、アタッチメントなど外れていないかなどを確認させていただき、また次回までの必要な枚数のマウスピースをお渡しいたします。
既定の日数でマウスピースをご自身で交換していただきます。
ポイント⓶歯科医師の定期的なチェックは不可欠です!
マウスピースによる治療のスタート後は、患者様ご自身で毎日マウスピース装着の管理をするため、歯科医院を受診しなくてもよいと思われている方もいるかもしれませんが、定期的な歯科医師の確認は欠かせません。
というのも、最初に立てた治療計画で予定通り最後まで進めばいいのですが、途中で修正することはよくあります。
マウスピースが少し浮いてきたり、歯に装着したアタッチメントが外れてしまったり、ときには意図していない歯が移動してしまったりすることもあります。
お口や歯の周囲組織の状態には個人差がありますので、当初の予定通りにいかないことは当然といえます。ですので、問題が起きていないか、歯がちゃんと動いているのかを定期的なチェックで把握していき、必要であれば、治療計画を修正したり、マウスピースの追加作製もしたりします。
⓸全マウスピースの使用終了
予定の枚数が終われば現状の歯並びで問題ないかをご確認させていただき、問題なければ後戻り防止の為に、保定装置(リテーナー)の作製を行います。
⓹保定装置の装着
頑張って綺麗に並んだ歯並びを維持するためには、保定装置が必要不可欠となります。
今までの歯並びを数年で動かしているため、元の歯並びに戻ろうとしてしまい、後戻りをはじめます。
その後戻りを防ぐ為に、必要なのが保定装置となります。
⓺定期メンテナンス
矯正は終了しましたが、継続して行ってほしい事は、虫歯や歯周病防止の為に定期メンテナンスの受診です。
メンテナンスに通う事で、普段ご自身では落としきれない歯石等を除去し、虫歯や歯周病になりにくい環境を維持していきます。
また、虫歯などの早期発見にもつながります。
ここまでが大人のマウスピース矯正の基本的な流れとなります。
症例により、歯を抜歯してから行う症例もあり、今回ご紹介した流れと異なる場合もございます。
ご自身がマウスピース型の矯正が対象になるのか、矯正を行う時はどの処置が必要になるのかなどは、検査やシミュレーションを行う事で、事前にカウンセリングが可能となります。
現在、歯並びでお悩みの方がいらっしゃいましたら、矯正の無料相談を実施していますので、
お気軽にお問合せください。
当院初診の方は、まずは基本の虫歯や歯周病の検診を先に受けていただく事をおすすめしております。
マウスピース型矯正のQ&A
Q:装着時間が短いと歯は動かないのですか?
A:歯が移動するのは、マウスピースを装着しているときだけです。
装着が1日20時間以下になると、歯の移動量は減り、治療期間が長引くこともあります。
なるべく長時間つけていただけるのが望ましいです。
Q:中断などでマウスピースがあわなくなると、再度マウスピースを作るのですか?
A:たとえば、修学旅行などで数日装着できないこともあるかもしれません。
3日程度でしたら、入らなくなるということはないでしょう。
これが、1週間以上にもなると、合わなくなってしまうことも考えられます。
そのような場合は、前のマウスピースに戻っていただいたりします。ただ、それも合わないとなると、追加のマウスピースが必要となります。
Q:マウスピースの交換頻度早めれば、治療期間は短縮できますか?
A:通常2週間に1回の交換で治療が始まりますが、患者様が協力的で歯の移動がスムーズに進んでいる場合は、10日に1回のように早めていくこともあります。
その結果、治療期間を短縮できるでしょう。
ただし、交換頻度を早めていくことがいいとは限りません。
歯の移動がしきれていないうちに次のマウスピースに進んでしまうと、マウスピースが合わなくなる原因になったり、歯に強い力がかかる為、痛みがでてしまうこともあります。
また、過度な力は、歯が変色したり、歯の神経が死んでしまったり、歯の根の吸収(歯根吸収)につながったりします。
早く治療を終えたい気持ちもわかりますが、無理に歯に負担をかけることもおすすめできません。
Q:歯科医院を選ぶとき、どんなことに気をつけるといいですか?
A:患者様が納得してから治療を始めることが大切です。
ですので、費用や治療計画、またマウスピースで上手く治療が進まなかったときのリカバリー(回復)の方法を聞くことができる歯科医院がよいでしょう。
Q:マウスピースの交換を忘れないか心配です。何か良い方法はありますか?
A:マウスピースの交換は、患者様の管理になります。
当院ではマウスピースの袋に使用期間を記載させていただき、お渡しいたします。
最近では、交換のタイミングなどを教えてくれるアプリもありますので、そういったツールを利用して、継続していくのもよいでしょう。
いがかでしたでしょうか?
今回は、大人のマウスピース型矯正についてご紹介させていただきました。
マウスピース型矯正治療は、オーラルスキャナーを用いた光学印象や、コーンビームCTのデジタルデータによる歯の移動のシミュレーションを行うことで、治療結果の見通しや治療の予測ができる利点もあります。
まだ、新しい治療法ですが、患者様と歯科医院が協力して治療を進めていけば、お口を良好な状態に導くことができる矯正装置です。
ぜひ、その特性を知った上で治療を受けていただきたいと思います。